ドイツに来て一年が経った

ちょうど一年の節目なので、この一年を大雑把に振り返る。

日常生活について

ハンブルク(というかドイツ)の賃貸事情はあまりよくない。不便でない場所でまともな物件は家賃が高い。なので複数人で同居するのが結構普通っぽい。いろいろな事情があり三回も引っ越すことになった。安心して寝られる場所がいかに大事かが身に染みてわかり、所持品をできるだけ増やさないようにしようという意識が染み付いた。いろいろな住み方を経験して、なにが自分に合うかわかったことと、市内のいろいろな場所に短期間でも住めたのが収穫。

  • 会社が用意してくれたアパート (二ヶ月くらい)
    ロケーションはよかったけどソファベッドしかなかったので腰痛持ちには辛かった。期限付きだったのでいずれにせよ引っ越す必要があった。
  • 次の引越し先がなかなか見つからなかったので郊外のAirbnb物件 (一ヶ月くらい)
    赤の他人の母子家庭と同居で、他人の家で生活する窮屈さで気が休まらなかった。
  • 赤の他人と同居 (三ヶ月くらい)
    ロケーションは最高だったので、定住する気満々だった。しかし壁が薄かったこともあり同居人の音楽や電話の音がうるさくて気が休まらなかった。大家さんに何度か文句を言って同居人の排除を試みつつ、同居人が出ていかない場合の引越し先を探す戦術を取った。ちょうど引越し先を探していた仲の良い同僚と一緒に物件を探し、目処がついたところで退去を告げた。同居人も同時に契約を解除されていた。
  • 同僚と同居 (現在)
    同僚がドイツ人ということもあり契約もその後の諸々の手続きも順調にできた。彼には感謝してもしきれない。ドイツ最大の繁華街の中の、二人では持て余すほど広いアパートに住んでいる。ハンブルクに来て半年、ようやく安住の地を得た。

英語でそれほど不自由しないので、ドイツ語を使わざるを得ない状況がほぼ発生せず、必死に勉強しない。
買い物や外食などの場面で、聞かれることも答えることも大体決まっているような会話は拙いながらもドイツ語でできるようになった。それ以外もなんとなく相手の言っていることはわかるようになってきた。でもキャッチボールは無理。
会社でドイツ語のレッスンが始まったので、しっかり身につけて社会に溶け込み、永住権に近づきたい。

剣道をやっていてよかった、と思った。職場以外のコミュニティ、しかも同じ趣味を持った日本人のコミュニティがある、ということで精神の健康が保たれていたと思う。良い先生にも出会えて、楽しく剣道ができている。あと、稽古の中で使われるドイツ語は結構覚えて使えている。
一方で、剣道そのものや指導法の中にガッチリ組み込まれている日本文化に馴染めないドイツ人が結構いるのを知って、各国でローカライズされてよいのでは、とか剣道について色々考える機会も増えた。

労働

新しい技術を積極的に取り入れる文化はあるものの、必要に迫られてそれをするほどの技術的挑戦がないので、もうしばらくしたら転職を考えるかもしれない。給料アップの交渉もそろそろしたいがどうするのが良いのかまだよくわかっていない。

ハンブルクオフィスは半分以上が外国人で、ブラジル、エストニア、スロベニア、ニュージーランド、ロシア、ウクライナと出身地もいろいろ。楽しい。
ドイツ人の同僚の中にはドイツからほとんど出たことがないとかEUから出たことがないという人も結構いて、会社全体では圧倒的多数派なので自然なこととはいえ、無自覚にドイツ人的な価値観でズカズカと踏み込んでくるので腹が立つことも多い。
日本人どころかアジア人が自分一人というのも、辛さの一因かもしれない。上手な付き合い方を身につけるのにはまだ時間がかかりそう。不躾にズカズカと踏み込まれる側の立場を経験してみたかったのも日本以外に住んでみようと思った理由の一つだったのでそれはそれで良い。

週40時間働いて、やるべきことをやっていればあとはかなり自由。早く来て早く帰っても遅く来て遅く帰ってもAmazon来るからホームオフィスでもOK。傷病の場合は有給休暇とは別に必要なだけ休める。ドイツの企業はどこもそうなのか、会社によるのかは不明だけど、信用・信頼されている感じがする。仕事のためにそれ以外のことを我慢しなくて良いということが、仕事に対するモチベーションや生産性も高めている(少なくとも自分の場合は)と感じる。今の会社に入って良かった、と思うことの一つ。

その他

「住めば都」というので、他の街に住んでいたらその街が好きになっていたと思うけど、とにかくハンブルクが気に入っている。
まず、ドイツ第二の都市ながら、街がコンパクトで、アルスター湖やエルベ川のおかげか都会の息苦しさがない。
そして、ベルリンほど国際的な雰囲気はないもののとにかくリベラル。ドイツ語が理解できていないだけ、という可能性を考慮しても差別されたと感じたことがほぼない。店員や役所の人がぶっきらぼうなので、「アジア人だからナメられてるのか?」と思って観察してたら誰に対してもぶっきらぼうなだけだった、とか。良くも悪くも「外国人だから」という理由で区別されない。
無理にドイツ人化することなく、日本人のまま社会に溶け込めそうだな、という感じがする。

バスは当たり前のように遅れるし、渋滞は激しいし、線路の工事はいつまで経っても終わらないので公共交通機関が優れているわけではない。
分単位の課金でどこでも乗り捨てられるカーシェアリングサービスとか、市内のあちこちにある実質無料の自転車シェアリングサービスとか、配車サービスとか、移動の手段がたくさんある。そもそも街がコンパクトなので、任意の場所から大体の場合30分あれば任意の別の場所に行ける。

ドイツでも普通に生活できることはわかったので、再びより良い仕事と生活を求めていきたい。毎日のようにいろいろな国の会社から連絡が来るので、何処か別の国に行ってみるのも悪くないし、大学で別の分野を学んでみるかとか。ドイツで生活することが目的ではない。

飼いたい。

ハンブルクに来て一ヶ月経った頃に

なんとなくドイツが好きでドイツに来て今幸せ、これからも幸せに生きられそうな気がする、それでいいか。

と書いていて、今もそういう気持ちなので、これでよかったんだと思う。

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