ドイツで自動車の購入・登録

ITOH Akihiko
6 min readMar 15, 2018

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ドイツに来て1年半、ようやく念願の、そして人生初の自動車を手に入れた。

今まで、バスと電車を乗り継いで片道一時間弱かけて、ときに極寒のバス停で20分近くバスを待ったりしながら道場に通っていたのが、片道15分程度に短縮される。市内の他の道場や、試合などで訪れる体育館も、だいたい交通の便が良くない場所にあるので、車を手に入れたことで出稽古や試合に行く物理的・心理的障壁がグッと下がる。

出かけることに対する障壁が下がるというのは、結構重要。
車を運転できる年齢になってから今まで、公共交通の便利なところで暮らしてきたので、都市部で車を持つことは無駄だと思っていた。都市部なら多少時間がかかってもバス、電車、自転車、カーシェアリングなど、特に移動に困ることはないし、遠出するにしてもその都度車を借りるほうが、月給の何倍もの大金をはたいて車を買い、安くない維持費を払い続けるよりも安上がりで便利だと思っていた。
しかし、例えば車を借りるとなると、事前に予約する・手続きをするという手間や、数十〜数百ユーロという出費や、時間通りに返さなければいけないというプレッシャーがコストとなって心理的障壁を上げる。僕の場合、週末にちょっと出かけようという思いつきは、この障壁を越えられない。
一方で、車を所有していれば、乗っても乗らなくても維持費はかかるし、燃料代と、使用によって車自体の価値が僅かに毀損すること以外にコストがかからず、ふと思い立ってどこかへ出かけて、好きな時間に帰ってくる、ということができる。

つまり、機会や経験を買っているのだ、という認識に変わった。

それはさておき、車の購入と登録のプロセスを、他の誰かの役に立つことを期待して書き並べておく。

注) 2018年3月のハンブルクでの話なので、この通りにすればOKとか、こうしないとダメとかいうものではありません。だいたいこういう流れ、という参考程度に。

前提

7000–8000EURくらいの価格で、走行距離100,000km以下の小型車を探していたところ、同じ道場の人が、車が不要になるということでにわかに話が進んだ。予算は当初の想定を上回ったものの、走行距離も少なく、全体的な状態もとても良かったので、すぐに決心した。

その方は、前の持ち主のリース契約を引き継いでいて、つまり厳密な意味での所有者はリース会社、登録は隣のSchleswig-Holstein州だった。

車両のチェック、テストドライブ

口頭で合意したら、実際に車両を見せてもらい、テストドライブをさせてもらった。今回は、安全運転をする知り合いの人からの購入で、前の持ち主もまともな運転をする知り合いだったということで、要は信頼できる相手だったので、細部まで疑い深くチェックすることも、値切る材料を見つけようという気もなかったけれど、普通はよくチェックしたほうが良いと思う。YouTubeなどに、中古車屋が教えるチェックポイント、みたいな動画がたくさん転がっているので参考になる。

テストドライブに際しては、市街地だけでなくアウトバーンも走ると良い。当たり前ながら、自分の車ではないので、安全運転を心がけ、事故や違反などないように細心の注意を払う。理想的には、どこを走って何をチェックしたい、ということを伝えておくと良いと思う。

契約

車両のチェックとテストドライブが済んで、金額面でも合意したら、契約書を準備する。ADACが個人間売買の契約書のテンプレートを公開しているのでそれを使う。

個人情報や、車両の情報と、合意した金額を記入する。今回は、追加の合意事項の欄に「半額を先に振り込み、残りは車両の引き渡し後に振り込む」旨を記入し、双方サインをすることで売買の意思表示とした(他の欄はこの時点ではサインできないので)。また、車両登録の証明書(Zulassungsbescheinigung Teil I und II)と、最新の車検の証明書をコピーしてもらっておく。また、この時点での走行距離をメモしておく。

主だった損傷などを記録して、付録としておくと良いと思う。

それが済んだら、現持ち主(売り手)に、リース会社から現持ち主へ名義を移す手続きをしてもらう。この手続に時間がかかることを想定し、余裕を持って引渡日を決める。

それと並行して、買い手側としては、自動車保険の契約を済ませておく。CHECK24で個人情報や車自体の情報を入力して、好きな保険会社の好きなプランを選択する。AdmiralDirektは安く、全てオンラインで完結した。保険の開始日は引渡日にする。保険の契約が済むとeVBコードというのが送られてくる。これは車両の登録の際に必要なので控えておく。

このeVBコードによって、車両登録と同時に、自動的に旧持ち主の保険が無効になり、新持ち主の保険が有効になる。まれにその切替がうまくいかないことがあるらしく、その時のために売り手にeVBコードを伝えておくと親切。

引き渡し

車の状態を再度確認した上で、鍵と車両の登録証などの書類を受け取り、契約書に受領のサインをする。

全額の振り込みが済んだら契約書に受領のサインをもらう。

以上で売買は終わり。

車両登録

LBVのアポイントメントを取る。今回は他の州からの転入なので「Z06 — Umschreibung von außerhalb HH」を選択。

  • 身分証明書
  • Zulassungsbescheinigung Teil I und II
  • 最新の車検の証明書
  • eVBコード
  • アポイントメントの番号とQRコードが印刷された紙

を持ってLBVに行く。

呼ばれた先の部屋ではまず車両の登録をして、新しい登録証(Zulassungsbescheinigung Teil I und II)を受け取り、ナンバープレートの番号を決める。手数料を支払う。

古いナンバープレートを無効にし(交通局のシール?を削り取る機械があるのでそれを使う)、新しいナンバープレートを作成する。新旧のプレートを持って再度指示された部屋に行き、新しいプレートにシールを貼ってもらって終わり。前後を間違えないようにプレートを取り付けて帰る。

事前に人から聞いていた話だと、保険料は若い外国人だとべらぼうに高くなるとか、車両の登録に何週間も待たされるとかだったけど、そんなことはなかった。保険料は四半期あたり190EUR、登録は15分で済んだ。

追記

税金の計算はここでできる。

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